出版社:Shinsui-ebooks
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ブンナよ、木からおりてこい
立ち読み
著者名
出版社
:Shinsui-ebooks
カテゴリー
:文芸
ジャンル
:文芸 戯曲・シナリオ
ポイント:800pt 価格:880円(税込)
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水上勉 「テアトロ」1979年8月号 より転載、一部編集
脚色者より……木に登ったブンナが土にもぐって隠れていることを、小説では、すずめ、百舌、ねずみたちは最後までしらない。それを、戯曲では、すずめがそれをしっていることにした。そうすることによって、緊張感のあるドラマになる、ブンナはただのんびりと人の話を聞いて感慨にふけってばかりはいられない、上の連中は連中で、ブンナを犠牲にして自分が助かることができるかも知れないと考えると、死に直面した絶望が、のがれようとするあがきが、より鮮明になる。もう一つ、ガラスの箱にとらえられたブンナというのも、原作にはない。いきなり主人公を観客の前に提示する。そしてそのブンナの回想からはいる、そうすれば、判りやすく、そして劇の世界にはいっていくのに無理がない。
小松幹生 1981年6月 本書<あとがき>より 一部編集