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： 本書では、これまであまり触れられていなかった、手裏剣術の具体的な稽古法や、さらには指導法について、ご紹介することを試みている。言い換えれば、稽古の現場での非常に泥臭い内容が中心である。正直、自流の技術について、ここまで明かしてしまって良いものかという思いもある。しかしながら、世間には手裏剣術に関しての資料があまりにも少なく、何よりも筆者自身が術の情報に飢え続けて来たのである。また、地方での実技指導のお問い合わせや、講習会開催のご希望などもしばしば頂戴する所である。
残念ながらこれまでは、そうしたご希望に、なかなかお応えすることができなかった。が、直接の指導は難しくとも、書籍の形ででも、流儀の内容を公開することで、いくらかは参考にしていただけるのではないか。そう気がついたのである。そこで、これも手裏剣術の発展と興隆の一助と信じて、現在分かっている限りのことをできるだけ詳しく、また平易に述べることとした。従って、本書の内容は非常に実際的であるから、読者にはこれを悪用するようなことが無いよう、くれぐれもお願いしたい。
願わくば、本書によって斯術（手裏剣術）の情報に飢えた方々の渇きを、いくらかでも潤すことができれば、まことにさいわいである。（はじめにより）